犬の血液型は何種類?
DEA型の仕組みと輸血前に必要なクロスマッチ検査
公開日:2025年4月7日
人間の血液型はABO式・Rh式が広く知られていますが、犬の血液型は「DEA型(犬赤血球抗原)」という独自の分類システムを使います。輸血を安全に行うためには、血液型の理解とクロスマッチ検査が欠かせません。本記事では犬の血液型の仕組みを、輸血との関係を中心にわかりやすく解説します。
1. 犬の血液型(DEA型)とは?
犬の血液型はDEA(Dog Erythrocyte Antigen=犬赤血球抗原)という分類システムで定義されます。赤血球の表面にある抗原の有無によって分類され、現在では主にDEA1、DEA3、DEA4、DEA5、DEA7などが輸血医学上重要とされています。
人間のABO血液型とは異なり、犬の血液型は複数の抗原の組み合わせで決まります。そのため「DEA1陽性かつDEA4陽性」など、複数の型を同時に持つことが一般的です。
2. DEA1型が輸血で最重要な理由
数あるDEA型の中で、DEA1(旧称:DEA1.1)が輸血において最も重要とされています。その理由は次の通りです。
- 抗原性が強い:DEA1陰性の犬にDEA1陽性の血液を輸血すると、強い免疫反応(抗体産生)が起きます
- 2回目の輸血が危険:1回目の不適合輸血で抗体が作られると、2回目の輸血時に急性溶血反応が起きる可能性があります
- 検出が容易:市販の簡易検査キットでDEA1の陽性・陰性を確認できます
DEA1陰性の犬は「ユニバーサルドナー」に近い存在とされ、どの犬にも輸血しやすいため、献血ドナーとして特に需要が高い傾向があります。
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無料でドナー登録する →3. 犬の血液型の種類一覧(DEA1〜8)
| 血液型 | 重要度 | 特徴 |
|---|---|---|
| DEA1(陽性/陰性) | ★★★ 最重要 | 最も抗原性が強い。輸血前に必ず確認 |
| DEA3 | ★★ | DEA3陰性犬への不適合輸血で遅発性溶血反応のリスク |
| DEA4 | ★★ | ほぼ全ての犬が陽性。ユニバーサルドナー判定に使用 |
| DEA5 | ★ | 一部の犬種に多い |
| DEA7 | ★ | 抗原性は比較的低い |
| Dal | ★★ | ダルメシアンに特有の血液型抗原 |
| Kai-1, Kai-2 | ★ | 近年発見された比較的新しい抗原 |
実際の臨床では、DEA1の陽性・陰性を確認し、さらにクロスマッチ検査で適合性を確認するのが標準的な手順です。
4. クロスマッチ検査とは
クロスマッチ検査(交差適合試験)は、ドナーの血液とレシピエント(輸血を受ける犬)の血液が実際に適合するかを確認する検査です。血液型検査だけでは判断できない個別の免疫反応の有無を確認できます。
主要クロスマッチ(Major Crossmatch)
ドナーの赤血球 × レシピエントの血清を混ぜて反応を確認します。最も重要な検査で、溶血・凝集が起きなければ適合とみなされます。
副クロスマッチ(Minor Crossmatch)
ドナーの血清 × レシピエントの赤血球を確認します。こちらも凝集・溶血がなければ適合です。
クロスマッチ検査は初めて輸血を行う犬でも必須とされており、費用は5,000〜15,000円程度が一般的です。
5. 血液型不一致輸血のリスク
不適合な血液を輸血した場合、以下のような重篤な反応が起きる可能性があります。
- 急性溶血性輸血反応:輸血した赤血球が急速に破壊される。ショック・臓器不全・死亡のリスク
- 遅発性溶血性輸血反応:輸血後数日〜数週間後に赤血球が破壊される
- 発熱・蕁麻疹・嘔吐:比較的軽度の免疫反応
- アナフィラキシー:重篤なアレルギー反応。緊急治療が必要
これらのリスクを防ぐため、輸血前の血液型確認とクロスマッチ検査は省略できません。
6. 犬の血液型検査はどこでできる?
犬の血液型検査(DEA1の判定)は、以下の場所で受けることができます。
- 一般動物病院:簡易カードテスト(QuickVet等)で約10〜30分で結果がわかります。費用は3,000〜8,000円程度
- 二次診療病院・大学病院:より詳細な検査(DEA3・DEA4・Dal等)に対応している場合があります
- 外部検査機関への委託:一部の病院では外部の検査機関に送付して詳細な型判定を行います(結果まで数日かかる場合あり)
献血ドナーとして登録する際には、事前に血液型を調べておくと、緊急マッチングの際にスムーズに対応できます。
7. 献血ドナー犬に求められる血液型条件
理想的な献血ドナー犬の血液型条件は以下の通りです。
- DEA1陰性:最も安全性が高く、多くのレシピエントに輸血可能。「ユニバーサルドナー」に近い存在
- DEA4陽性:ほぼ全ての犬が陽性のため、通常は問題なし
- Dal陰性:ダルメシアンへの輸血を考える場合は要確認
ただし、血液型だけでなく体重・年齢・健康状態などの条件も重要です。詳しくは愛犬を献血ドナーにする方法をご覧ください。
8. よくある質問
Q. 愛犬の血液型を普段から知っておく必要がありますか?
A. 義務ではありませんが、緊急時に備えて知っておくと安心です。特に献血ドナーとして登録する場合は事前確認をおすすめします。
Q. DEA1陰性の犬は少ないですか?
A. 犬種によって異なりますが、一般的にDEA1陽性の犬が多数派です。DEA1陰性のドナー犬は特に需要が高くなっています。
Q. クロスマッチ検査は毎回必要ですか?
A. 初回輸血時は必須です。同じドナーから2回目以降の輸血を行う場合でも、時間が経過していれば再度実施することが推奨されています。
Q. 子犬のときに血液型を調べておけますか?
A. 可能です。子犬でも血液型検査を受けられます。ただし、採血量の制限があるため、獣医師に相談してから行ってください。
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