完全ガイド

犬の輸血完全ガイド
費用・血液型・手順・副作用・ドナー探しまで徹底解説

公開日:2025年4月18日

「愛犬に輸血が必要です」——突然そう告げられた時、飼い主は何を理解し、何を決断しなければならないのでしょうか。本記事は犬の輸血に関する全情報を一冊にまとめたピラーコンテンツです。費用・血液型・手順・副作用・ドナーの探し方まで、必要な知識をすべて解説します。

犬の輸血とは?基本的な仕組み

犬の輸血とは、血液が不足したり機能しなくなった犬に対して、健康な供血犬の血液や血液製剤を補充する治療法です。人間の輸血と基本的な概念は同じですが、大きく異なる点が一つあります——日本にはペット用の公的な血液バンクがほとんど存在しないという点です。

このため、輸血が必要になった時に「血液をどこから調達するか」が最初の大きな課題となります。病院が院内に供血犬を持っているケース、飼い主がドナーを探すケース、動物病院間で血液を融通するケースなど、現場によって対応はさまざまです。

輸血が必要な病気・状況

犬への輸血が検討される主な状況は以下の通りです。

貧血性疾患

急性出血

凝固障害

輸血の判断基準として、PCV(赤血球容積率)が15〜20%以下で臨床症状が伴う場合が一般的な目安です。ただし急速な貧血進行では数値よりも症状を優先します。

犬の血液型と適合性

犬の血液型はDEA(Dog Erythrocyte Antigen)システムで分類されます。DEA1.1が最も重要で、陽性(DEA1.1+)と陰性(DEA1.1-)があります。

血液型日本での割合輸血での注意点
DEA1.1 陽性(+)約60〜70%DEA1.1-の犬へは輸血不可
DEA1.1 陰性(-)約30〜40%万能供血者として最も重宝される

初回輸血では不適合反応が出にくいですが、2回目以降は必ずクロスマッチ(交差適合試験)が必要です。また、DEA1.1陰性の犬を供血犬として育てると、どの犬にも輸血できるため非常に価値があります。

輸血製剤の種類と使い分け

製剤名成分主な適応保存期間
新鮮全血(FWB)赤血球+血漿+血小板急性出血・重度貧血採血後8時間以内
濃縮赤血球(pRBC)赤血球主体慢性貧血・溶血性疾患4℃で35〜42日
新鮮凍結血漿(FFP)凝固因子・タンパク凝固障害・DIC・低タンパク凍結で最大1年
血小板製剤(PRP)血小板濃縮血小板減少症室温で3〜5日

輸血の手順・流れ

  1. 受血犬の評価:血液検査(CBC・生化学)・PCV測定・臨床症状の確認
  2. 血液型検査:DEA1.1の確認(クイック検査で10〜15分)
  3. クロスマッチ:受血犬と供血犬の適合性を試験(2回目以降は必須)
  4. 血液製剤の準備:院内供血犬から採血、または外部から調達
  5. 前処置:必要に応じて抗ヒスタミン薬を投与し副作用リスクを低減
  6. 輸血開始:最初の15〜30分はゆっくり(0.5〜1 ml/kg/時)投与し反応を確認
  7. 本輸血:問題がなければ4〜8 ml/kg/時に増量。全量投与に2〜4時間
  8. モニタリング:体温・心拍・呼吸・血圧を継続的に観察
  9. 輸血後評価:PCV再測定、改善を確認

輸血にかかる費用

犬の輸血費用は病院・地域・使用する血液量によって大きく異なります。

項目費用の目安
血液型検査3,000〜8,000円
クロスマッチ検査5,000〜15,000円
輸血処置料10,000〜30,000円
血液製剤費20,000〜80,000円(量・種類による)
入院費(1泊)10,000〜30,000円
合計(目安)30,000〜150,000円以上

ペット保険に加入している場合、輸血治療が補償対象となるプランもあります。加入前に補償内容を確認しておきましょう。

副作用と対処法

輸血の副作用発生率は約3〜16%です。多くは軽度で適切な対処が可能ですが、重篤なケースもあるため輸血中は必ず監視します。

副作用症状対処
急性溶血反応嘔吐・血圧低下・血色素尿即輸血中止・輸液・ステロイド
発熱性反応体温1℃以上の上昇輸血速度を落とす・解熱剤
アレルギー反応蕁麻疹・顔面浮腫抗ヒスタミン薬
循環過負荷呼吸困難・肺水腫輸血中止・利尿薬

ドナー犬の探し方

血液が確保できない場合、以下の方法でドナーを探します。

供血犬の条件として一般的に求められるのは、体重25kg以上・1〜8歳・定期健診済み・ワクチン・フィラリア予防接種済みであることです。

輸血後のケア

よくある質問

Q. 輸血は何回でもできますか?

A. 技術的には複数回可能ですが、回数を重ねるほど不適合反応のリスクが上がります。2回目以降は必ずクロスマッチが必要です。

Q. 輸血は痛いですか?

A. 採血・点滴の針刺しの痛みはありますが、輸血中の痛みはほとんどありません。安静にさせれば落ち着いて処置を受けられます。

Q. 小型犬でも輸血できますか?

A. 受血(輸血を受ける)は体重・犬種を問わず可能です。ただし供血犬には体重25kg以上が推奨されます。

Q. ペット保険は輸血に使えますか?

A. 多くのプランで使えますが、補償内容はプランにより異なります。加入前に「輸血」「血液製剤」が補償対象かを確認しましょう。

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